意外と多い農家のうつ問題|農業を続けるために

自分はこれまで、農業に真剣に向き合ってきました。
農作業のやりがいも感じていましたし、「農業を一生の生業にする」と覚悟を決めていました。
しかし気づけば少しずつすり減り、うつを発症し、離農することになってしまいました。
「農業は大変だ」という話をしたいわけではありません。
むしろ、今も前向きに農業に取り組んでいる 若い農家の人たちに、自分と同じようになってほしくないという気持ちでこの記事を書いています。
自分に限らず程度の差はあれど、うつになる農家は意外と少なくありません。
自分は医者ではないので病気の詳しい事はわかりませんが、農家の悩みはわかります。
この記事が優秀で前向きな農家に届けばと思います。
うつ病とは?
うつという言葉は誰もが聞いたことがあると思いますが、実際にどんな症状があるのか確認していきます。
これらは自分の症状というわけではなく、一般的なものとして厚労省のホームページから紹介します。
うつの症状
- 悲しく憂うつな気分が一日中続く
- これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
- 食欲が減る、あるいは増す
- 眠れない、あるいは寝すぎる
- イライラする、怒りっぽくなる
- 疲れやすく、何もやる気になれない
- 自分に価値がないように思える
- 集中力がなくなる、物事が決断できない
- 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う
もちろん、生活していれば誰もがストレスを感じます。「どこからがうつなのか?」と考える人も多いと思います。
厚労省のホームページでは、
「うち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することをお勧めします。」
とのことです。
実際に自分もいくつかの症状が当てはまり、それが今まで経験のない程度で長く続いたため、精神科を受診しました。
農家のストレスの要因
うつのことを話した際、「何が原因なの?」と多くの人に聞かれました。
うつ病は 1つの要因 でなることもあれば、 複数の要因 が重なって発症することもあります。
自分自身も「これが原因」と特定できるものではなく、 いろいろな事が積み重なった結果だと感じています。
ここでは、 農家がストレスを感じやすい主な要因 を紹介します。
自分のうつの要因ということではなく、一般的に多い農家のストレス要因として捉えてください。
農家のストレス要因
- 孤独な環境
- 経済的な不安
- 長時間労働と肉体的負担
- 天候や災害のショック
- 家業への重圧
1. 孤独な環境
農家は経営者である以上、孤独なのは当然かもしれません。しかし、 農業の特性上、特に若手農家は孤独を感じやすいです。
✅ 地域の農家は高齢者が多く、若手は自分1人だけ
✅ 作業の大半が1人での労働
✅ 周囲と考え方が違うことによる孤立感
同じ仕事をしていても、 価値観の違いから孤独を感じること があります。
例えば、
- 昔ながらのやり方を続ける高齢農家との考え方の違い
- 新しい農業技術を取り入れたくても、周りに相談できる人がいない
こうした 「物理的な孤独」と「考え方の孤独」 の両方が、心の負担になりやすいです。
2. 経済的な不安
農業は 収入が不安定 になりやすい仕事の1つです。
✅ 天候の影響で収穫量が左右される
✅ 市場相場の変動で売上が安定しない
✅ 近年の資材・燃料・肥料の高騰
一次産業は、自分の努力だけではどうにもならない部分が多く、 「頑張っても報われない」 という感覚になりがちです。
特に 借金を抱えている農家 では、プレッシャーがさらに大きくなります。
3. 長時間労働と肉体的負担
作物や経営規模によって異なりますが、農業は ハードワークになりやすい 仕事です。
✅ 収穫期は休みなしで働くこともある
✅ 日の出前から日没後まで作業が続く
✅ 身体に負担がかかる作業が多い(腰痛・関節痛など)
特に、 繁忙期と閑散期の差が激しく、心身の負担が大きくなることもあります。
4. 天候や災害のショック
農業は 自然と向き合う仕事 です。
✅ 台風・豪雨で作物が全滅
✅ 猛暑・冷害で収穫量が大幅に減少
✅ 獣害による被害
「1年間努力したのに、自然災害で一瞬にして台無しになる」
この 無力感とショック が、精神的な負担になります。
5. 家業への重圧
農業は 家業として受け継がれることが多い 仕事です。
✅ 「自分の代で終わらせてはいけない」というプレッシャー
✅ 親世代のやり方と、自分の考えとのズレ
✅ 家族の期待に応えなければならないという義務感
会社勤めと違い簡単にやめられないという感覚で、無理する農家も多いです。
農家のうつ対策
農家に限らずうつは誰しもなり得る病気です。
長く農業を続けていくために、自分がやってきたこともふまえながら具体的な対策を紹介します。
① 仕事の負担を減らす工夫をする
いくら農業が好きでも長時間労働、負荷の大きい作業を続ければ心身の負担は大きくなります。
- 一気に面積を広げない、規模拡大しない
拡大志向、上昇志向があっても焦らず大きくしていきましょう。体や心もその規模の負荷に慣れていきます。
- 自分の体を動かす時間を減らす
農家は自らやりたがる人も多いですが、自ら動いていたことをスタッフに教える時間や新しい省力化の機械を調べる時間、デジタルツールを勉強する時間等に変えていき、少しずつ自分にしかできないことを減らしていきましょう。
- 健診を受け、マッサージ、整体、銭湯など体のケアに気を配る
健全な精神は健全な身体に宿るらしいです。体のケアをすることが精神的な安定にもつながります。
② 相談できる相手を持つ
- 近くに若手農家が少ない場合でも、地域を広げ相談できる農家仲間を作る
すぐ近くに相談できる仲間がいなくても、市内・県内に範囲を広げ仲間を増やしてください。前向きで孤独に戦っている農家はたくさんいます。
- SNSで知った価値観の合う人に実際に会いに行ってみる
農家に限らず、自分の価値観の合う人にあって話してみる事は大切です。自分の目標を理解してくれる存在は挑戦には不可欠です。自分にとっては、妻やデザイナーさんがそうでした。
- 信頼できる友人には定期的に会って話す習慣にする
③ 生活習慣を整える
- 睡眠と食生活の改善
特に睡眠不足はメンタルに大きな影響を与えると言われています。不安やストレスで寝れないときは早めに対策しましょう。
- スマホ見すぎない
自分もスマホ中毒なところがありますが、SNSやネットニュースで不安になったり、寝不足にもなるのでほどほどにしましょう。
- 運動や趣味でリフレッシュする
農業で体動かしていても、趣味でスポーツするのは大切な気がします。
④ 収入の不安を減らすための工夫
- 収入保険の活用
自分も入っていましたが良い制度です。農業共済 収入保険
- 収入源を分散させる
私は農業だけで食べていけるラインまでは、農業に集中していった方が良いという考えでした。ただ若手の先進農家の中にはそれ以上を目指す方もいると思いますが、農業以外に収入源持つのは精神安定上も良いのかもしれません。
- 経営相談やファイナンシャルプランナーの活用
経営の相談を定期的に受けるという事もありますが、農業は仕事と生活の境目が曖昧です。生活面のお金に強くなると経営も楽になります。生活コストが下がれば経営の不安も減ります。
⑤ 専門家の助けを借りる
- 不安があれば、早めに医療機関を受診する
精神科にいくというのは抵抗のある方も多いと思います。
自分もそうでした。
でも体の病気と一緒で早めの治療と適切な服薬が大切です。
精神的な事は軽く考えてしまったり、素人に相談してしまいがちですが専門家を頼りましょう。
服薬に抵抗があればカウンセリングという方法もあったりします。
また精神的な通院は長くなることも多く、金銭的にも負担になる場合もあります。
自立支援制度というものもあるので、まず風邪で内科を受診するように病院へ行ってみてください。厚労省ホームページ自立支援制度
まとめ
農業はやりがいのある仕事ですが、経済的不安や孤独、長時間労働などのストレスが積み重なり、心の負担が大きくなることがあります。
農家の高齢化の一番の心配は「若手農家の孤独」かもしれません。
農家がうつになるのは珍しいことではなく、多くの人が同じような悩みを抱えています。
だからこそ、大切なのは「無理をしないこと」「相談できる環境を作ること」「早めに医療機関を受診すること」です。
当たり前のことばかりですが、この積み重ねが長く農業を続けるポイントだと思います。
農業に前向きで、新たな時代の扉をこじ開けようとしている農家をたくさん知っています。
私は道半ば、志し半ば、夢半ばでリタイアしてしまいました。
同じ道を歩まないために少しでも参考になればとこの記事を書きました。
今後もそんな農家たちが、経済的に精神的に安定するためのヒントになるような記事を書いていければと思います。
また私も次のやりたい仕事を探していきます。
はいあがろう 「負けたことがある」というのがいつか大きな財産になる
