農業
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柿の種類を徹底解説!甘柿・渋柿の違いから代表品種までまるわかり

繁原大樹
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秋の味覚として日本人に長く親しまれてきた果物「柿」。

実は、全国には地域特有の品種を含めて1,000種類以上の柿が存在すると言われています。

中でも大きな分類としては、甘柿(あまがき)渋柿(しぶがき)の2種類があり、それぞれに特徴や味わいの違いがあります。

「甘柿と渋柿ってどう違うの?」「渋柿ってそのまま食べられないの?」「干し柿にするとどうなるの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、本記事では以下のようなポイントを詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • 甘柿と渋柿の違い
  • 代表的な柿の品種と特徴(富有柿・次郎柿・平核無など)
  • 渋抜きの方法や干し柿の作り方
  • 全国のブランド柿・特産柿の紹介

柿の種類や特徴を知ることで、自分にぴったりの柿を選べるようになります。

甘柿と渋柿の違いと見分け方

秋になると店頭にさまざまな柿が並びますが、柿は大きく分けて「甘柿(あまがき)」と「渋柿(しぶがき)」の2種類に分類されます。

その違いは、果実に含まれる「タンニン」という成分の性質によるものです。

甘柿とは?

甘柿は、熟す過程でタンニンが不溶性に変化するため、渋みを感じなくなります。

そのため、渋抜きの必要がなく、収穫してすぐに生で食べることができるのが特徴です。

甘柿の主な特徴:

  • 渋みがなく、そのまま食べられる
  • 果肉がジューシーで甘みが強い
  • 生食に向いている
  • 代表品種:富有柿、次郎柿、太秋柿など

渋柿とは?

一方で渋柿は、熟してもタンニンが可溶性のまま残るため、そのまま食べると強い渋みがあります。

そのままでは食べられないため、アルコールなどを使った「渋抜き」や「干し柿」に加工してから食べるのが一般的です。

渋抜きして販売されている物や干し柿など加工されて販売されています。

渋柿の主な特徴:

  • 渋みが強く、そのままでは食べられない
  • 渋抜きや干し柿加工が必要
  • 甘みが凝縮された深い味わい
  • 代表品種:平核無、西村早生、蜂屋柿など

甘柿と渋柿の見分け方は?

見た目だけで甘柿と渋柿を見分けるのは難しいため、品種名で判断するのが確実です。

スーパーでは「渋抜き済み」や「さわし柿」と表記されていることもあります。

基本的には渋いまま販売されていることはないので心配はいりません。

代表的な柿の品種と特徴

柿にはたくさんの品種がありますが、ここではスーパーなどでもよく見かける、人気の高い代表的な品種をご紹介します。

甘柿と渋柿それぞれから、特に知っておきたい柿をピックアップして特徴を解説します。

甘柿の代表品種

富有柿(ふゆうがき)

日本で最も多く栽培されている甘柿で、「甘柿の王様」とも呼ばれています。

果肉はとても柔らかく、ジューシーでとろけるような食感が特徴です。

甘みも非常に強く、子どもからお年寄りまで幅広い世代に人気があります。

  • 旬の時期:10月下旬〜11月中旬頃
  • 特徴:果汁たっぷりで濃厚な甘さ、形は丸みを帯びたやや扁平型

迷ったらまずは富有柿を選べば間違いなしです。

次郎柿(じろうがき)

やや四角い見た目が特徴的な甘柿で、果肉がしっかりとしており、シャキシャキ・サクサクとした歯ごたえの良さが魅力です。

富有柿と比べると上品な甘さで、食感重視の方におすすめです。

  • 旬の時期:10月中旬〜11月頃
  • 特徴:硬めの果肉でサクサク食感、角ばった四角い形

「硬めの柿が好き!」という人に根強い人気があります。

私も栽培していました。

太秋柿(たいしゅうがき)

比較的新しい品種で、大きな実と非常に高い糖度が特徴。

サクサクした梨のような食感で、果汁も多くジューシーです。

果皮に黒い縞模様(条紋)が入ることがありますが、これは「甘い証拠」とも言われています。

  • 旬の時期:10月上旬〜11月上旬
  • 特徴:大玉で甘さ抜群、シャキッとした食感と高い糖度

見た目にインパクトがあり、贈答用にもおすすめです。

【渋柿の代表品種】

平核無(ひらたねなし)

「ひらたねなし」と読みます。名前の通り種がない、四角い形の渋柿です。

渋抜きしやすく、アルコール処理などで渋を抜いたものが「さわし柿」としてスーパーなどに並びます。

食べやすく加工性も高いため、市販でもよく流通しています。

  • 旬の時期:10月頃(渋抜き済みで流通)
  • 特徴:種なし、甘みが強く万人向け、加工用としても優秀

西村早生(にしむらわせ)

早生(わせ)品種で、9月上旬ごろから市場に出回る柿です。

見た目は甘柿に似ていますが、実は渋柿。

アルコールなどで渋を抜いたうえで生食されることが多く、やや硬めの食感とさっぱりとした甘さが楽しめます。

  • 旬の時期:9月上旬〜下旬
  • 特徴:早く楽しめる、歯ごたえがあり爽やかな甘さ

秋の訪れをいち早く感じたい方におすすめです。

蜂屋柿(はちやがき)

干し柿用として名高い渋柿。

特に岐阜県美濃加茂市の「堂上蜂屋柿」は高級干し柿として知られています。

大玉で果肉がとても柔らかく、干すとゼリーのようなとろける甘さになります。

手間はかかりますが、干し柿にすると極上の逸品です。

  • 旬の時期:10月下旬〜11月頃(干し柿用)
  • 特徴:大玉で濃厚な甘み、干し柿に最適

「天然の和菓子」と呼びたくなるような、深い甘みを楽しめます。

渋抜きの方法や干し柿の魅力

渋柿はそのままでは強い渋みがあり、生食には向きません。

しかし、少しの手間をかけて「渋抜き」や「干し柿」に加工することで、驚くほど甘く、濃厚な味わいに生まれ変わります。

ここでは、家庭でもできる渋抜きの方法と、干し柿の魅力についてご紹介します。

渋抜きとは?

渋柿の渋みの正体は「可溶性タンニン」という成分です。

この成分が水に溶けやすいままだと、口の中で強い渋みを感じてしまいます。

渋抜きとは、このタンニンを「不溶性」に変化させて、渋みを感じなくする処理のことを指します。

渋抜きの主な方法

アルコール(焼酎)を使う方法

市販でも広く行われている、家庭で簡単にできる方法です。

渋柿のヘタ部分に35度以上の焼酎を少量つけてビニール袋に入れ、密閉して常温で1週間ほど置きます。

渋が抜けると、驚くほど甘くなります。

炭酸ガスを使う方法

主に農家や業務用で使われる方法です。

ドライアイスと一緒に密閉容器に入れて、炭酸ガスを充満させた状態で数日間保管すると、渋が抜けます。

天日干し(干し柿)にする方法

皮をむいた渋柿を紐で吊るして、風通しの良い場所に干します。

干している間に自然と渋が抜けるだけでなく、甘みが凝縮されて深みのある味わいに変わります。

1日1回やさしくもむと、やわらかく仕上がりやすくなります。

干し柿の魅力

干し柿は、ただ渋みがなくなるだけではありません。

以下のような魅力があり、古くから「冬の保存食」としても親しまれてきました。

  • 水分が抜けて糖度が高まり、甘みが凝縮される
  • 食物繊維やビタミンA、カリウムなど栄養価が豊富
  • 保存性が高く、冷蔵・冷凍で長期保存も可能
  • 干し加減によって、ねっとり系からドライフルーツ系まで食感の変化が楽しめる

特に「蜂屋柿」や「平核無」など、干し柿に向いている品種で作ると、まるで高級和菓子のような味わいになります。

渋柿は手間がかかるぶん、甘柿にはない深いコクや風味を楽しめます。

自宅での干し柿作りも意外と簡単なので、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

このあとは、日本各地で生産されている「特産柿」「ブランド柿」について紹介していきます。

全国のブランド柿・特産柿の紹介

日本各地では、気候や風土に適したさまざまな柿の品種が栽培されています。
なかには地域ブランドとして認定されているものや、高級贈答品として人気の柿もあります。
ここでは、代表的な地域のブランド柿・特産柿をいくつかご紹介します。

奈良県|刀根早生(とねわせ)

「平核無柿(ひらたねなし)」の枝変わりとして生まれた品種で、全国的にも広く流通している種なし柿です。

渋柿ですが、渋抜きがしやすく、「さわし柿」として販売されていることが多いです。

奈良県では富有柿と並ぶ名産品として親しまれています。

  • 特徴:種なしで食べやすく、ほどよい甘さ
  • 旬の時期:10月中旬〜11月上旬頃

福岡県|秋王(あきおう)

「富有柿」と「太秋柿」を掛け合わせて開発された、比較的新しい甘柿のブランドです。

大玉で、糖度はなんと18度以上になることもあり、サクサクとした歯ごたえと強い甘みが特徴です。

贈答用としても人気が高まっています。

  • 特徴:シャキッとした食感と濃厚な甘み
  • 旬の時期:10月下旬〜11月中旬頃

岐阜県|堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)

岐阜県美濃加茂市の特産で、「蜂屋柿」を原料とした最高級の干し柿ブランド。

江戸時代には将軍家にも献上されていたとされ、長い歴史を誇ります。

一つひとつ丁寧に干され、ゼリーのようにとろける食感と上品な甘さが魅力です。

  • 特徴:大玉で干し柿専用品。極上の和菓子のような味わい
  • 旬の時期:干し柿として12月〜1月が食べ頃

山形県|庄内柿(しょうないがき)

「平核無柿」を庄内地方で広く栽培したことから、この名で親しまれています。

渋柿ですが、渋抜き加工をして甘くしてから出荷されるため、生で食べられます。

整った形とやさしい甘みが特徴で、山形を代表する秋の果物のひとつです。

  • 特徴:種なしでクセのない甘さ、生食にも最適
  • 旬の時期:10月中旬〜11月上旬頃

和歌山県|紀の川柿(きのかわがき)

「たねなし柿」を独自の方法で渋抜きし、果肉にゴマ模様(黒い点)が現れるのが特徴。

独特の甘さと見た目の美しさから、贈り物としても人気があります。

和歌山県は全国有数の柿の産地で、品質も安定しています。

  • 特徴:濃厚な甘さと美しい果肉の模様
  • 旬の時期:10月中旬〜11月中旬頃

愛媛県|西条柿(さいじょうがき)

「西の御所柿」とも呼ばれ、干し柿や渋抜きで甘くしてから食べられる渋柿です。

果肉がやわらかく、濃厚な甘みがあり、あんぽ柿にも適しています。

愛媛県内で長く親しまれている伝統的な品種です。

  • 旬の時期:10月下旬〜11月頃
  • 特徴:干し柿に適した濃厚な甘さ

柿に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、柿についてよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
購入時や保存、調理に役立つ豆知識も満載です。


Q. 渋柿はそのまま食べられるの?

A. 基本的にそのまま食べると強い渋みを感じてしまいます。
渋柿に含まれる「可溶性タンニン」が渋みの原因で、これを渋抜きして「不溶性」に変える必要があります。
市販の渋柿はほとんどが渋抜き済み(「さわし柿」など)ですが、家庭用や産直品などは注意が必要です。


Q. 柿は冷凍保存できますか?

A. はい、できます。
皮をむいて種を取り、食べやすい大きさにカットしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
半解凍状態でシャーベットのように食べると、デザート感覚で楽しめます。
丸ごと冷凍することも可能ですが、食べるときにやや水っぽくなるため、カット保存がオススメです。


Q. 干し柿の栄養価は生の柿と違うの?

A. はい、干し柿は水分が抜けている分、栄養素が凝縮されています。
とくに以下の栄養素が豊富です:

  • 食物繊維:腸内環境を整える
  • カリウム:むくみの予防や血圧ケアに
  • ビタミンA(β-カロテン):目や肌の健康に役立つ

ただし、糖分も凝縮されているため、食べすぎには注意しましょう。


Q. 柿の黒い点や縞模様は傷んでいるの?

A. 黒い点や筋のような縞模様(「条紋(じょうもん)」)は、むしろ「甘い柿の証」とも言われています。
とくに「太秋柿」などでは、この条紋が出ているものほど糖度が高い傾向にあります。
傷や腐敗ではないため、安心して食べて大丈夫です。


Q. 柿を食べるとお腹が冷えるって本当?

A. 柿には身体を冷やす作用があると言われており、東洋医学では「陰性の果物」とされています。
体調がすぐれない時や冷え性の方は、食べ過ぎに注意し、干し柿のように加熱・乾燥されたものを選ぶのがおすすめです。

まとめ|自分好みの柿を見つけて秋の味覚を楽しもう

柿は、甘柿と渋柿という2つの大きな分類に分かれ、それぞれに豊富な品種があります。

全国には1,000種類以上の柿が存在しており、その味・食感・用途は本当にさまざまです。

甘柿は、そのまま生で食べられる手軽さとジューシーな甘みが魅力。

一方で渋柿は、渋抜きや干し柿にすることで甘みが凝縮され、濃厚で深い味わいに生まれ変わります。

代表的な品種だけでなく、各地で育まれてきた地域特産のブランド柿も見逃せません。

贈答用としても人気があり、旬の時期に合わせて楽しむのもおすすめです。

この記事を通して、少しでも「柿の世界って奥深い!」と感じていただけたなら幸いです。

ぜひ、今年の秋はお気に入りの柿を見つけて、そのおいしさをじっくり味わってみてくだ

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