脱サラ農家が直面する「家業」と「事業」の壁

農家になるまでの経歴は人それぞれですが、サラリーマンを辞めて農業を始める「脱サラ農家」もいます。
農家生れではない人が脱サラで農家になる場合もありますが、農家生まれで一度サラリーマンになった後に脱サラ農家になる人も近年は多いです。
脱サラ農家は農業を新たなビジネスとして捉え、効率的な経営や販路拡大を考えながら取り組む人も多いでしょう。
しかし、伝統的な農家の多くは農業を「家業」として受け継いでおり、そこには独自の価値観や慣習が根付いています。
この「家業」と「事業」の意識の違いが、脱サラ農家と周囲の農家や親、祖父母との間に摩擦を生むことがあります。
どちらが正しいという話ではないのでご了承ください。
1. 脱サラ農家にとって農業は「事業」
サラリーマン時代に培ったビジネス感覚を活かし、農業を「事業」として捉える脱サラ農家は少なくありません。
- 利益を最大化するために作物の選定や販売戦略を考える
- 効率化のために機械化やデータ活用を積極的に導入する
- ブランド化やマーケティングを通じて販路を拡大する
こうした取り組みは、現代の農業経営において極めて重要です。
農業に限らず家族経営から大きく成功した人の多くは家業から事業に意識を変えろと言います。
脱サラ農家にとって事業の視点を持つことは当たり前の感覚です。
しかし、これまで農業を「家業」として守ってきた周囲の農家にとっては、こうした考え方がなかなか受け入れられないこともあります。
2. 伝統的な農家にとって農業は「家業」
一方、地域に根付いた農家にとって、農業は単なる生業ではなく、家族の歴史や地域社会とのつながりを含むものです。
- 先祖代々の土地を守り、受け継ぐことが最優先
- 利益よりも地域や家族との関係を重視
- 地域内の助け合いや慣習が優先される
このような価値観のもとで農業を営んできた人々にとって、「利益を出すためのビジネス視点」を持ち込む脱サラ農家は、時に異質な存在に映ります。
その結果、地域内で孤立してしまうケースも少なくありません。
3. 脱サラ農家と地域農家の摩擦の原因
脱サラ農家が周囲の農家と摩擦を生みやすいポイントを整理すると、以下のようになります。
① 価値観の違い
- 脱サラ農家:「利益を追求するビジネス」
- 伝統的農家:「家族と地域を守る家業」
② 農業経営のアプローチの違い
- 脱サラ農家:新しい技術やマーケティングを取り入れる
- 伝統的農家:昔ながらのやり方を重視
③ 人間関係の違い
- 脱サラ農家:個人の事業としての独立性を重視
- 伝統的農家:地域内のネットワークを大切にする
このような違いから、脱サラ農家が「金儲け主義」と見られたり、逆に伝統的農家が「時代遅れ」と批判されたりすることがあります。
違いまとめ
項目 | 脱サラ農家 | 地元農家 |
---|---|---|
価値観 | 利益を追求するビジネスとして農業に取り組む | 家族や地域を守る生業(家業)として農業に従事する |
経営アプローチ | 新しい技術やマーケティング手法を積極的に採用する | 昔ながらのやり方や慣習を重視する |
人間関係 | 個人事業として独立性を重視する | 地域内のネットワークを大切にする |
4. 脱サラ農家が地域と共存するために
では、脱サラ農家が地域に溶け込みながら成功するにはどうすればよいのでしょうか。
① 地域の価値観を理解する
地域の慣習や考え方を尊重し、「自分のやり方が正しい」と押し付けないことが大切です。まずは地元の農家とコミュニケーションを取り、信頼関係を築きましょう。
② 少しずつ変革を進める
いきなり大きな変化を持ち込むのではなく、徐々に新しい技術や経営手法を取り入れることで、地域の理解を得やすくなります。
③ 相互のメリットを考える
例えば、脱サラ農家が持つ販売力やブランディングの知識を活かし、地域の農産物を広める手伝いをすることで、共存の道が開けるかもしれません。
5. まとめ – 家業と事業のバランスを取ることが成功の鍵
脱サラ農家が成功するためには、「事業」としての視点を持ちながらも、「家業」としての側面を無視しないバランス感覚が重要です。
日本の農業、地域の農業を守っていくためには、間違いなく変わっていく必要があります。
その為には脱サラ農家のように一般企業の感覚や他分野の視点は欠かせません。
しかし多くの既存農家はそうではありません。
それを踏まえたうえで成功するために、農業を守っていくために遠回りだと思ってもまずは信頼関係を築くことです。時間をかける事です。
脱サラ農家にとっては農業を家業から事業として捉える事よりも、多くの農家にとっては家業であるということを強く意識する必要があります。
そのギャップは農家出身でない新規就農者にとってはとても大きなものです。
地域の文化や慣習を尊重しつつ、新しい農業経営の形を模索することが、長期的な成功につながるでしょう。
もし、これから脱サラ農業を考えている方がいらっしゃるなら、ぜひ「地域との共存」という視点を忘れずに取り組んでみてください。