農家が直売と卸売を両方やるべき理由|メリット・デメリットと具体的戦略

農家の販売方法が多様化している今、「直売」と「卸売」のいずれを選ぶかは、農家にとって重要なテーマです。
たとえば、直売では高い利益率やブランディング向上が期待できる一方、卸売は大量販売や安定した収益の確保に向いています。
直売、卸売どちらかに固執する農家も多いですが、私はを両方を掛け合わせる販売戦略をおすすめします。
「直売」と「卸売」それぞれのメリット・デメリット、両者を組み合わせる具体的な販売戦略について紹介します。
収益を最大化しつつ安定させる秘訣を探っていきます。
新規就農者や販売ルートの拡大を検討中の農家の方は、ぜひ参考にしてみてください。
自分の農業スタイルに合った販売戦略を見つけることは農業の醍醐味です。
1. 直売と卸の基本的な違い
「直売」と「卸売」がそれぞれどのような仕組みを持つのか、まずは確認しましょう。
直売と卸売では、販売相手や流通経路、さらには利益率や販売の手間などが大きく異なります。
直売とは?
- 定義:農家が消費者に対して、直接農産物を販売する方法です。
- 主な販売先:
- 直売所(自宅併設や地域の施設)
- マルシェやイベント
- オンラインショップやSNS
- 特徴:
- 農家自身で価格を設定でき、利益率を高く保ちやすい
- 消費者との距離が近く、ブランド価値やリピート率を高められる
- 販売や接客など、営業活動を行う必要がある
直売の最大の魅力は、農家のこだわりやストーリーを直接伝えられる点です。
消費者との信頼関係を築きやすく、価格設定も自由度が高いのが強みといえます。
卸売とは?
- 定義:農家がJAや市場や流通業者、スーパー、レストランなどの取引先に農産物を卸す方法です。
- 主な販売先:
- JA、卸売市場
- 地元スーパーやなどの流通ルート
- 飲食店や加工業者
- 特徴:
- 大量販売が可能で、まとまった収益を確保しやすい
- 流通業者や契約先があるため、集客や販売促進に注力する必要が少ない
- 単価が低くなる場合がある
卸売と言ってもJAや市場に出荷するのとスーパーや飲食店に卸すのとでは、違いがあります。
農家の名前を出して販売リピートやブランディングに繋がりやすい場合もあり、直売に近いと言えます。
2. 直売のメリット・デメリット
「直売」は、農家が直接消費者に農産物を販売するため、市場価格の変動や中間マージンに左右されにくい点が魅力です。
一方で、自分自身が「売り手」として動く分、接客や集客などの作業負荷が増します。
直売のメリット
価格を自由に設定できる(利益率が高い)
農家自身で商品価値を決められるため、市場価格よりも高めの値付けが可能です。
収穫から販売までの中間業者がいないぶん、利益率が高くなりやすいのが大きな利点です。
また、季節や需要状況に応じて価格を柔軟に変えられるため、高付加価値の作物や新品種などにも挑戦しやすいです。
消費者と直接つながることでブランド価値が向上
マルシェや直売所では、農家自身が「作り手の顔」として商品をPRできます。
作物へのこだわりや生産ストーリーを伝えることで、消費者の信頼感や愛着が高まり、リピーターを獲得しやすくなります。
SNSやECサイトなどオンラインでも同様に、「生産者の想い」を届けやすい点が魅力です。
販売の工夫次第で売上アップ可能
直売ならではの自由度の高さを活かし、試食イベントやSNS発信、商品セット販売などを組み合わせれば、売上アップが期待できます。
また、鮮度や品質を最適な状態で消費者に届けられるのも直売の強みです。
定期便や予約販売で、安定収入を得る農家も増えています。
直売のデメリット
販売の手間がかかる
自分で直接販売するということは、集客・宣伝・接客など、営業活動に時間と労力を割く必要があるということです。
作物の育成だけでなく、PR素材の準備、SNS更新、イベント出店などの作業が増えます。
在庫管理や配送などの負担が増える
直売でECサイトやオンラインショップを運営する場合、受注管理や梱包、配送手続きといった物流面の業務が発生します。
売れ残りや配送遅延などのリスクも考慮しなければならないため、在庫や品質管理が複雑になりがちです。
販売量が天候や集客に左右されやすい
マルシェや直売所への来客数は天候やイベント開催状況などに左右されます。
天気の悪い日は客足が少なく、売上が安定しない可能性もあります。
一方で、好天や人気イベントの開催日には想定以上に売れて在庫が足りなくなることもあり、予測が難しい面があります。
3. 卸売のメリット・デメリット
直売と対照的に、「卸売」は農家が市場や流通業者、スーパーマーケット、レストランなどへ一括して商品を販売する方法です。
大量の作物を一度に引き取ってもらいやすいため、安定した収益を狙いやすい半面、利益率の低下や品質基準の厳しさなどの課題もあります。
卸売のメリット
大量販売が可能で安定した収益が見込める
卸売の最大の強みは、多量に出荷しやすいことです。
大量の作物を一度に買い取ってもらえるため特に作付面積が広く、生産量が多い農家にとっては、効率的な販売方法と言えるでしょう。
販売活動の負担が少ない
市場や卸業者、契約先などが販路を確保してくれるため、マルシェ出店やEC運営、SNS運用などの手間がかかりません。
農作業や品質管理に集中できるため、作物の生産性向上に注力しやすいのが大きなメリットです。
需要の変動に関係なく一定の取引が可能
卸先と契約栽培の形で取引する場合は、あらかじめ決まった数量を買い取ってもらえるため、安定した売上を見込めます。
消費者の需要や季節の変動に左右されにくい点は、経営のリスクを軽減するうえで大きな利点です。
卸売のデメリット
単価が低くなる
卸売には中間業者が介在するため、どうしても直売よりも単価が下がりやすい傾向があります。
大量販売ができる代わりに、利益率は低くなるケースが多いので、全体の収益バランスを踏まえて検討する必要があります。
品質や規格の厳格な基準を求められる
JA・卸売市場やスーパーなどでは、規格があるため品質管理や選別作業を厳しく行う必要があります。
取引先との契約や価格交渉が必要
大量に買い取ってもらえる分、取引先との契約条件や価格交渉が慎重に行われる場合が多いです。
相手の求める品質や納期、品種などに合わせる必要があるため、自由度は直売よりも低めです。
4. 直売と卸売を組み合わせる販売方法
直売と卸売のどちらかに固執しすぎず両方をバランス良く活用することで、収益の最大化と経営の安定化が期待できると私は思っています。
バランスの取れた販売戦略
直売と卸売の両方を組み合わせると季節や作物ごとに出荷先を調整することも出来ます。
- 旬の野菜や果物で需要が高い時期は、利益率の高い直売をメインに販売。
- 大量収穫が見込まれるときや、需要が落ち着く時期には卸売を中心に行い、安定した収益を確保する。
- オンラインショップで予約販売し数量を確保し、残りは卸売に回す。
- 高品質な物、特別な栽培をした物、新品種などを直売所で販売
などたくさんの販売戦略を考える事が出来ます。
直売の販路を増やす方法
具体的に直売の販路、売上を増やす方法の例をあげます。
- 自宅に直売所をつくる
- 地域の農産物直売所に出荷する
- メルカリやBASEでネット販売してみる
- SNSで情報発信し売り先を告知する
などがありますがネット販売は気軽に出来るので試してみてください。

直売・卸売両方やるメリットと注意点
両方を掛け合わせると様々なメリットがあります。
リスク分散はもちろんですが、卸売だけしていると感じにくい消費者の感覚やニーズを意識出来ます。
また流通、販売の苦労を知り卸売のメリット再確認できると思います。
そのため私は卸売メインの農家であっても少しでも直販をするべきだと考えています。
初めからあれこれやるのは難しいですし、栽培技術のないうちの直売はあまり得策と言えません。
まず卸売で売り先を確保し、しっかりと栽培に集中して技術を高めましょう。
まとめ
農家が販路を拡大するうえで、「直売」と「卸売」をどのように組み合わせるかは、経営の安定と収益最大化を図るうえでとても重要なポイントです。
直売は高い利益率やブランド力向上が魅力ですが、販売作業や在庫管理などの手間がかかります。
一方の卸売は大量販売で安定した収益を見込める反面、単価が低くなりやすく、品質基準や契約条件にも縛りがあります。
しかし、両方を適度に組み合わせることで、リスク分散と売上拡大を同時に実現できるのが大きなメリットです。
たとえば、旬の作物を直売で高価格帯で販売しつつ、余剰やB品を卸に回してロスを減らす方法などが代表的な例です。
また、卸売での安定収益を確保しながら、直売を通じて消費者の声を直接集めることで今後の作付計画やブランド構築に活かすこともできます。
とはいえ、新規就農直後で栽培技術や販路が十分に整っていない場合は、まず卸売を中心にして生産基盤を固め、徐々に直売ルートを開拓すると、無理なくステップアップできるでしょう。
いずれにしても、自分の農業スタイルに合った販売戦略を見つけることが大切です。
両方のメリット・デメリットをしっかり理解したうえで、最適なバランスを試行錯誤しながら見つけていってください。
