ライフスタイル
PR

【農業2030年問題】農家はもっと減ってもいいのか?

繁原大樹
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
しげはら
しげはら

皆さん、こんにちは!

次郎柿のしげはら農園、繁原大樹です。

今回はタイトルの通りかなり踏み込んだテーマで書きます。

農家の方も、そうでない消費者の方も農家の数がどんどん減っている事は聞いたことがあると思います。

テレビなどのメディアでも農家が高齢化し減っている事で日本の食糧安全の危機をうったえるような発信が多いように感じます。

実際は農家はもっと減っても大丈夫なのか、僕の農家として感覚と実際の数字上のデータを交えて書いていきます。

スポンサーリンク

参考書籍「農家はもっと減っていい」

この記事を書くにあたって参考にした書籍がこちらです。

農家の中ではかなり有名な本です。

著者の久松さんは有機の野菜農家です。

久松さんは以前にも書籍を出されていて、僕が農家になる時にも読んだのを覚えています。

読む前はまた有機農家の方の少量多品目経営の本かなと思って読み始めましたが、久松さんの書籍は農業全体を見て慣行栽培(農薬等を使う一般的な栽培)を決して否定せず、その中で自分のポジションをどうするかというような本でかなり印象的な農業書籍の一冊になっています。

最新刊の「農家はもっと減っていい」の中では農林業センサスというものを参考に数字で農業の現状が書かれています。

農林業センサスとは5年に一度全国の農家全員に聞き取りを行い全体のデータを出す統計調査です。

来年2025年の年初に調査があるので農家の方は覚えておいてください。

このデータをもとに今の日本の農家の現状と農家が減るとどうなるのかについて考えいきます。

農家の数とプロの農家の割合

2015年の調査では農家、農業法人の数が137.7万人でしたが、2020年では107.6万人でわずか5年で約2割も減っています。

平均年齢も64.2歳から67.8歳と高齢化していて、2030年には40万人まで減るという予測もあるそうです。

これを聞くと え、ほんとにやばいと感じると思うのですが、注目しないいけないのは次のデータです。

売上とはそこから経費が引かれます。

つまり農業だけで生活していくのは難しく兼業で他の仕事をしている、また年金を受給している農家ということです。

2015年から2020年にかけて2割農家が減る中で農業産出額は増えています。

つまり農家の数が減ることは生産量に関して問題ないということです。

大規模な農家が辞めていく農家の畑も栽培し拡大しています。

くれぐれも僕は小さな農家や兼業農家、年金受給者の農家を否定しているわけではありません。

僕自身色んな規模の農家がいた方が良いし、すべての農家さんにリスペクトがあります。

そもそも僕も農業全体ではかなり小さな農家です。

ただ農家が減っているから日本の農業、食料安全は危機だと煽るのは全く反対です。

このことは農家としてもっと発信しないといけないと思っています。

農業2030年問題

農家の数が減っていくことに何の問題もないかというとそう言うわけでもなさそうです。

2030年には農家数が40万人になるかもと書きましたが2030年に向けて急激に減っていくことが考えられます。

販売金額の多い農家が増えていますがそういった農家が急激に増えたり、今の大規模農家がさらに栽培面積を増やすのも急には出来ません。

雇用した増やした場合も農業の人材育成にはとても時間が掛かります。

なだらかに減少させることをソフトランディングと言うそうです。逆はハードランディング。飛行機の着陸時に使う言葉みたいですね。

ハードランディングが起こると一時的に農業生産が危うくなる期間があるということです。

これを農業2030年問題と言っています。

農家が減ることが問題ではなく急激に減ることが問題なのだと思います。

これは10年以内に間違いなく起こる問題です。

豊橋の柿農家はどうなるのか?

日本の農業全体を数字で捉えた2030年問題を豊橋の柿農家にとって肌感覚ではどうなのかという話をしたいと思います。

豊橋の柿農家はまさに高齢化と後継者不足の激しい地域です。

70代以上が半数を占めているので今後10年以内にかなりの数が減ると思われます。

その中で大規模な経営をする新たな農家が出てくるかが豊橋の柿産地が続くかの鍵だと思います。

それはもしかしたら企業による参入かもしれません。

ソフトランディングさせるには今の農家さんが少しでも柿栽培を続けられる工夫と辞めていく農家さんの畑を受け入れる体制と新たな農家の成長が必要です。

柿に限らず1つの経営体が多くの面積をこなすには農地を集約させることと省力化していく事です。

栽培方法を大きく見直していくことも必要かもしれません。

今の僕には答えはわかりませんが。

二極化する農業でどう生き残るか

農業に限らずよく言われることですが今後二極化が進むと思われます。

農家が減り畑が空くことでとにかく大規模化していく層と小さくニッチな所を攻める層。

今大多数を占める中間の農家は生き残りが難しくなるのかもしれません。

例外に漏れずしげはら農園も今、中間の中途半端な農業経営だと言えます。

ここからどういう方向に進んでいくのかはっきり決めていくことが必要だと最近強く感じています。

久松さんは本の中で『「何となくつくって、何となく売る」が通用しなくなる。』と表現していましたが、まさにそうだなと思います。

今自分は何となくつくって、何となく売っている自覚を持っていきたいです。

結局農家は減ってもいい?

最後にまとめとして農家は減ってもいいのか?

食糧安全の面からすると農家の数は減っても問題ないと思います。

その分栽培規模大きな稼げる農家が増えていきます。

ただ急激に減ることによる影響はあります。

今の農業政策は既存の農家のための物が多いです。

もちろん今の農家さんが長く栽培出来る事にも目を向けながら、新しく大規模化を目指す農家、企業のサポートもめちゃくちゃ大切です。

豊橋の柿農家で言えば高齢の農家の方の作業受託サポートをしながら、大規模化の園地整備みたいな事を同時にやっていくみたいなイメージかもしれません。

今後10ha、20haと栽培する柿農家が出てきてほしいです。

自分にそこまでの器量があると思えないので。

もちろん大規模化だけが正解ではないです。

豊かさとは選択出来ることと八百屋さんが言っていました。

徹底的に大規模化するもいいし、その隙間を狙うような農家がいてもいい。

消費者も安く買えるものも、こだわった高単価なものもあっていい。

いろんな農家や作物があることが豊かさだと思います。

ただ大きな流れは農家は減り大規模化していくことは間違いないです。

農家が減ることは決して日本の危機ではないことを知ってもらいたいです。

もっと詳しく、正確に農業の現状を知りたい方はぜひ書籍を読んでみてください。

しげはら農園では次郎柿の超早期予約受付中!しげはら農園オンラインショップ

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

プロフィール
繁原大樹
繁原大樹
次郎柿の しげはら農園
愛知県豊橋市の次郎柿農家。 次郎柿の生産・販売だけでなく 加工品の開発・販売、アグリテックの試験、小中学校への出前授業、農福連携、剪定枝の有効活用、柿畑での柿渋染めワークショップなど様々な活動をしています。農家の現場目線の記事を執筆しています。
記事URLをコピーしました